HOME > 応急手当 やけど(熱傷)

応急手当 やけど(熱傷)

消防本部 : 2009/07/25

やけどとは、熱の作用による体表の損傷(狭義のやけど)、高温の気体や煙の吸入による呼吸器の損傷(気道熱傷)、そして比較的低温度で長時間過熱されて生じる体表の損傷(低温熱傷)に分類されます。

■高熱による熱傷
 熱による皮膚の障害は温度と接触時間によって決まります。通常65℃以上の熱が生体に接触すると、組織の蛋白質は熱凝固を起こし熱傷となります。沸騰した湯(100℃)でしたら、1秒の接触によっても熱傷となる。
 乳幼児の広範囲熱傷では加熱した浴槽への転落が最も多い。

■気道熱傷
 火災により生ずる熱や煙に含まれる燃焼の産物や有毒・刺激性ガスを吸入して生じる急性の呼吸器障害です。ピル火災では体表の熱傷より、煙にまかれて受傷する気道熱傷が問題となるケースが多い。

■低温熱傷
 比較的低温度のカイロ、湯たんぽ、電気毛布やホットパック、あるいは暖房用温風に長時間接触し生じる損傷を定温熱傷と呼びます。「低温」から、凍傷と誤解しないようにしましょう。45℃以上、60℃以下の熱源による損傷では低温熱傷を疑いましょう。

■観察
 熱傷(やけど)の程度を調べる

○熱傷の程度は、熱傷の深さ(皮膚の状態)と熱傷の広さから判断します。

○熱傷の深さ(皮膚の状態)を調べる。
   赤いか            (1度)
   水泡か、水疱が破れた状態か? (2度)
   白っぽいか?         (3度)

○熱傷の広さを調べる
簡単な方法として、手掌法があります。傷病者の片手の平の面積が体表面積の1%と考えて、熱傷の面積を調べるものである。
手の平がおよそ体表面積の1%である

大人の場合には、「9の法則」により、乳児の場合には、「ブロッカーの法則」により熱傷の部位をもとに、体表面積に占める熱傷の広さ(%)を調べることができる。
9の法則
9の法則
ブロッカーの法則
ブロッカーの法則
熱傷の程度が次の場合は、「重症の熱傷」であり、直ちに救急車を呼び、専門医による処置を受ける必要があります。
1度の熱傷で、体表面積の30%以上の熱傷
3度の熱傷で、体表面積の10%以上の熱傷
 顔の熱傷で、3度の熱傷または鼻毛が焦げたり痰が黒色になっている熱傷(気道熱傷)
 老人や乳児では、熱傷の広さが狭いときでも、重症となる場合がある。

流水で15分以上流す
■処置
比較的軽い熱傷(1度の熱傷、狭い面積の2度の熱傷)のとき

○できるだけ早く、きれいな冷水で15分以上痛みがなくなるまで冷やしましょう。
○十分冷やしてからきれいなガーゼを当て、三角巾や包帯などをします。
○靴下など衣類を着ている場合は、衣類ごと冷やす。
○1度で広い範囲の熱傷の場合は、冷やすときに体が冷えすぎないように注意しましょう。
○水泡を破らないように注意する。
○薬品を塗ってはいけません。
重症の場合は冷やした後保温する
■重症の熱傷のとき
○広い範囲の熱傷の場合は、きれいなシーツ等で体を包む。
○3度の狭い範囲の熱傷の場合は、きれいなガーゼやタオル等で包む。
○重症の熱傷のときは、冷やすことに時間をかけずに、できるだけ早く専門医の処置を受ける必要があります。
■化学薬品による熱傷のとき
○衣服や靴などを早く取り除く。
○体についた薬品を水道水等で20分以上洗い流す。
○目に入った場合は、水道水等で20分以上洗い流す。
○熱傷したところを、きれいなガーゼやタオル等でおおう。
○薬品を洗い流す場合は、ブラシ等でこすってはいけません。
○化学薬品に限らず目の熱傷の場合は、絶対に目をこすってはいけません。
化学薬品も20分以上流す
目に入ったものも洗面器の中などで流す



PAGE TOP