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応急手当 骨折

消防本部 : 2009/07/26

■骨折と捻挫

1 固定法

骨折部の動揺を防ぐように固定することによって、骨折部の痛みを和らげ出血を防ぎます。また、傷病者が体位を変えたり移動する場合に、骨折部の動揺で新たに傷がつくことを防ぎます。固定には副子を用います。副子は骨折部の上下関節をカバーできる長さと幅が必要ですが、身近にある新聞紙・週刊誌・板・傘・野球のバット・座布団なども利用できます。

2 各部の固定
前腕骨骨折固定図
(1)前腕骨骨折

肘関節から指先までの長さの副子を骨折部の外側と内側から当て固定します。副子が1枚のときは手の甲側から当てます。
 腕をつるときには、掌を下に向けないようにし、必要があれば体に固定します。
上腕骨骨折固定図
(2)上腕骨骨折

 
 肩から肘までの長さの副子を骨折部の外側から当て固定します。腕をつるときには、たたみ三角巾や風呂敷を使い、骨折部の肩の方に押し上げないよう注意しましょう。必要があれば体に固定します。
肘関節付近の骨折固定図
(3)肘関節周辺の骨折
 
 肘が伸びて骨折しているとき(肘を曲げるのが苦痛のとき)は、腋の下から指先までの長さの副子を肘の内側に当てて固定します。
(4)下腿骨骨折

 大腿の中間から足の先までの長さの副子を外側と内側から当てます。副子は骨折部の上下から固定していき、副子がない場合、両足の間に毛布などを入れて健側の下肢に固定する場合もあります
下腿骨骨折固定図
下腿骨骨折固定図

大腿骨骨折固定図
(5)大腿骨骨折

 受傷側は健側と比べると短く、足先が外側にねじれていることが多く、受傷者は激痛を訴え、立つことができません。足の指先は動かせても、かかとを上げることができません。副子を外側と内側から当て、骨折部の上下から固定していきます。外側の副子は腋の下から足の先までの長さのものを使います。
膝の骨折固定図
(6)膝の骨折

 臀部からかかとの先までの長さの副子を下肢の裏側に当てて固定します。膝と足首、かかとの下には軟らかいものを入れて、保護します。
鎖骨骨折固定図
(7)鎖骨骨折

 外側から1/3くらいの箇所が最も骨折しやすく、強い痛みがあり、健側に比べて患側の肩が下がります。両側の肩の前から脇にタオルなどの布を当て、傷病者が最も楽な手の位置で固定します。三角巾使用の場合は、頂点を患側の肘、一方の端を健側の肩に当て、他方の端を患側の腋の下から通して背中に回し、両端を肩の上で結びます。
足首の骨折固定図
(8)足首の骨折

 バスタオル、ダンボール、座布団などを利用して固定します。
(9)脊椎の骨折

 頸椎の骨折は極めて危険なので、体位の変換や搬送には十分注意を払ってください。頸椎カラー状の厚紙か固めの布を首に巻いて固定し、全身を背板に上向きに固定します。
脊椎の骨折固定図
アキレス腱の断裂固定図
(10)アキレス腱の断裂

アキレス腱断裂は、スポーツ中に急に起こり、ただちに運動不能に陥り、つま先で立てなくなります。下向きに寝かせ、足先を伸ばした状態で固定します。
「救急法講習教本」日本赤十字社より


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