○安芸市手話言語条例

令和3年12月20日

条例第23号

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話は、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語であり、ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできた。

しかしながら、これまで手話が言語として広く社会で認識されてこなかったことや、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることもコミュニケーションをとることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語であることが明記されたが、手話に対する理解の広がりをいまだ感じる状況に至っていない。

手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解を深め、手話が言語として広がることで、ろう者が手話を使って安心して暮らすことができる社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに地域において手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 手話 手や指、体の動き、表情を使って概念や意見を視覚的に表現する視覚言語をいう。

(2) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む聴覚障害者をいう。

(3) 市民 市の区域内に居住し、又は市の区域内に通勤若しくは通学する者をいう。

(4) 事業者 市の区域内に事業所又は事務所を有し、事業を行う法人その他の団体又は個人をいう。

(手話の意義)

第3条 手話は、ろう者が様々な知識を得て社会生活を営むために大切に受け継いできたものであり、独自の言語体系を有する文化的所産である。

(基本理念)

第4条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、ろう者が手話による意思疎通を円滑に図る権利を有すること及びその権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

2 手話でコミュニケーションを図りやすい環境を構築することにより、全ての人がお互いに人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに共生する地域社会の実現を目指すものとする。

(市の責務)

第5条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に対する理解を促進し、及び手話の普及を推進するとともに、ろう者があらゆる場面で手話による意思疎通を図ることができ、自立した日常生活及び地域における社会参加がしやすい環境を整備するため、必要な施策を講ずるものとする。

(市民の役割)

第6条 市民は、地域社会で共に暮らす一員として、基本理念に対する理解を深め、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるとともに、ろう者が利用しやすいサービスを提供するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第8条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する障害者計画において次に掲げる施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及を図るための施策

(2) 手話による意思の疎通及び情報の取得をしやすい環境を構築するための施策

(3) 手話通訳者の設置及び派遣等により全ての人がお互いに意思疎通を図ることができる体制を整備するための施策

(4) ろう者の社会参加の機会の拡大を図るための施策

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、前項の施策を推進するときは、ろう者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

3 市は、手話通訳者を設置し、又は派遣する体制の整備について、周知を図るものとする。

4 市は、地震、津波、風水害等の災害時においてろう者が必要な情報その他市政に関する情報を正確かつ速やかに得ることができるよう、手話による情報の提供その他のコミュニケーションのために必要な支援を行うものとする。

(財政措置)

第9条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)

第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和4年1月1日から施行する。

安芸市手話言語条例

令和3年12月20日 条例第23号

(令和4年1月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第4節 障害者福祉
沿革情報
令和3年12月20日 条例第23号