安芸の歴史 山の恵みと安芸浦の繁栄
担当 : 安芸市歴史民俗資料館 / 掲載日 : 2025/02/12
江戸時代、安芸地方の山間部からは木材・薪・炭が豊富に産出されました。これらは、安芸川・伊尾木川を利用して筏で河口まで運ばれ、船に積み替え、大坂市場へ送られました。 当時、大坂市場へ送られる土佐薪の量は、市場全体の6割を占め、多いときには薪代金が1年間に銀1万貫もあったそうです。これは土佐藩の収入銀の約2倍にあたり、その大半が安芸郡のものでした。
安芸・田野・奈半利・野根は木材の移出港として栄え、安芸郡を中心に土佐廻船業は発展し、大型廻船が 次々作られました。
五百石船模型

伊尾木八幡宮蔵
安芸市保護有形文化財指定
19反帆、500石積みの木材運搬用外洋船で実寸の10分の1。主材はクス。文化・文政年間(1810~1829)頃に作られたと言われています。奉納者は不明ですが、当時安芸浦・伊尾木浦には、豪商と呼ばれるような商家が軒を連ねており、彼らが奉納したものでしょう。
安芸村屏風

岡 南岡筆
江戸末期~明治初期
二曲一隻
南岡なんこうは安芸の人で、名は栄蔵。安芸浜沖から安芸平野を描いており、浜近くに大型船が係留して、浜からはしけで材木などの荷をつみこんでいる様子がよくわかります。
畑山家ノ谷遺跡出土銭

平成12年5月19日、畑山集落から6kmほど入った尾根筋に近い山中から、大量の銭が発見されました。銭の総数は、約28,000枚、大半は鉄の寛永通宝ですが仙台通宝も少し混じっていました。明治になって使用禁止になったために埋められたようです。かつて山では、たくさんの人たちが山の幸を生かして暮らしており、尾根伝いに香美郡や徳島県とも頻繁に交流があり、銭をたくさん貯めたお金持ちがいたのでしょう。
安芸市歴史民俗資料館
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