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安芸市別役ブナ林の遊歩道復旧に向けて
農林課 : 2024/10/17
令和6年10月1日に安芸市別役地域にある天然のブナ林(市有林)内にある遊歩道を復旧するための現地調査を高知東部森林組合と実施しました。
安芸市の北部、徳島県と接する別役地域には天然のブナ林(市有林)が広がっています。この豊かな森を歩きながら森林体験をする取組「安芸市伊尾木川源流ブナ天然林探訪ツアー」が、かつては毎年行われていました。しかし、豪雨被害等により遊歩道が壊れ、登り口のあった市道との接続部分も流されてしまったため、現在は訪れることが難しくなっています。
安芸市流域森づくり構想では、市内の森林観光名所を再発見し、活用を促進させようという取組(アクションプランNo.24「森林空間や歴史・ストーリーを活用した体験・観光の推進」)を進めています。その一つとして、この別役地域の貴重な天然のブナ林の魅力をより多くの人が体感できるように遊歩道などの再整備に取り組もうとしていて、今回は現状把握のために調査を実施しました。
かつての遊歩道の登り口(市道との接続部分)が豪雨被害等で壊れてしまっているため、調査では、三菱商事株式会社が所有する社有林を通ってブナ林(市有林)に入りました。この社有林およびブナ林のある市有林は、協働の森づくり事業の協定林となっていて、「三菱商事 千年の森(通称:彌太郎の森)」と命名されています。
三菱商事株式会社の社有林(スギ・ヒノキ林)は協定者である高知東部森林組合によって整備されています。
ブナ林がある市有林に入ると、かつての遊歩道の跡を探しながら慎重に歩みを進めました。場所によっては足場が悪く、何度も足を取られて転びそうになります。そのような、安全ではない場所を避けながら遊歩道の復旧の可能性があるルートに目印をつけて調査を続けます。
途中には自然の力によって倒された大木が横たわっていたり、野生の動物の痕跡を見つけたり、キツツキが木々を渡る様子を見かけたりと、自然の豊かさを実感する道のりとなりました。
遊歩道の跡を探しながらの行程だったので、登り始めてから1時間はかかったでしょうか。ようやくブナ林が林立する開けた空間に出ました。ここは、かつて「安芸市伊尾木川源流ブナ天然林探訪ツアー」でも多くの人が訪れていた場所で、当時の記念写真に写っているブナの大樹は今も変わらずそこに立っていました。
安芸市のまち周辺ではあまり見かけない林相に圧倒され、そこに流れる時間が人間の暮らしの中を流れるそれと随分違うなと、感動にも似た感覚を覚えました。
この天然のブナ林や三菱商事株式会社の社有林であるスギ・ヒノキ林を含む「三菱商事 千年の森(通称:彌太郎の森)」は水源涵養等の公益機能増進のための森林保全活動を実施している点、また連結する「四国山地緑の回廊」の設定方針に準じた管理手法を導入することで多様な野生生物の移動経路の確保に努めている点などが高く評価され、令和6年3月18日に、環境省が認定する「自然共生サイト」に登録されました。この「自然共生サイト」は、生物多様性保全の世界目標を踏まえ日本が定めた「生物多様性国家戦略」に基づくネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を止め、反転させる)の取組であり、今後、国際データベースに登録される予定です。
遊歩道の登り口では、高知県によって治山工事が行われていて、豪雨被害等により大きく壊れていた市道との接続部分を含む渓谷部の復旧が進んでいます。今後は、接続部分の上部から遊歩道を復旧し、再び多くの人が訪れることができるよう取組を進めます。また、生物多様性の保全と森林資源の観光化の両立を図るための議論も活発に行っていきたいと考えています。
この取組は、安芸市流域森づくり構想のアクションプランに基づく活動です
・No.24「森林空間や歴史・ストーリーを活用した体験・観光の推進」